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左利きの何がいけない?利き手を矯正することの弊害

今日は利き手のお話をしたいと思います。

私は左利きなのですが、小学生のときに担任教師から矯正指導を受けました。

それによって、なにげに生活に支障を来しています。

利き手を矯正されるのって、ものすごくストレスがかかるし、ものすごく生活がしづらくなるし、精神的にも相当のダメージを受けるんです。

だから、今現在あなたがお子さんの利き手のことで悩まれているのなら、とりあえず慎重になってくださいね。

左利きってどうしていけないの?

私はずっと左利きとして生きてきました。

30代の今も主に使っているのは左手です。

両親も祖父母も、私の利き手が左であることを問題視はしていませんでした。

むしろ左手で何もかもこなしていることに感心し、ことあるごとに「すごいなー。器用だな-」と言ってたくらいなので、私は子供ながらに左利きであることを誇らしいとさえ思っていました。

(器用だとは言われていましたけど、これを右手でやれと言われたらまったく思うようにはいかないので、実は器用でもなんでもないんですよね…汗)

まだ幼稚園生だったと記憶していますが、いつも一緒に遊んでいた女の子が、

「あたしも左利きだったんだよ。でも左は使っちゃ駄目な手だって言われて、右手使うようになったんだ」

と言ってきました。

私はその時初めて、世の中には左利きは良くないという考えがあるのだということを知りました。

けれど、ずっと「すごい」「器用だ」と言われて育ってきましたので、この友達の話を聞いて自分も右利きにならなくちゃ、とは思いませんでした。

そして時は流れ、私は小学生になりました。

ここで私の人間としての根本を揺るがされるような出来事が起こります。

担任教師からの恐怖の矯正指導

ちょっと大袈裟なテーマを掲げてしまいましたが、今思い返しても「恐怖」としか言いようのない事態があの狭い教室内で展開されておりましたので、心臓の弱い方はここは飛ばしちゃってください^^;

 

不安だらけで始まった小学校生活。

私の担任は年配の女性教師でした。

ベテランらしくメリハリのある指導の出来る先生でした。

褒めるときは褒める。怒るときは怒る。教育現場では大事なことですよね。

でもまだ右も左も分からない一年生にとっては、昭和の頑固親父的なこの女性教師は単に怖い先生でしかありませんでした。

褒めるときでさえ眉間には皺が寄ってましたからね(笑)。

あるとき、左手で鉛筆を握る私を見て先生はこう言ってきました。

「あら、左ぎっちょ?駄目。鉛筆は右手で持ちなさいよ」

左ぎっちょという言葉は今では差別用語であるとか放送禁止用語であるとかで、最近あまり耳にする機会がなくなりましたが、左利きの人を指してこういう言い方をする時代があったんですね。

私が子供の頃は当たり前に使われていました。

単に怒られたら怖いという考えしかなかったので、その場は「はい」と答えましたが、内心は嫌で嫌で仕方がありませんでした。

先生は左利きを良しとしない方の人間なのだな…。

左利きを咎められる経験を今までしてこなかったので、私は先生の見ていないところでは今まで通り、左手で鉛筆を握っていました。

自分ではうまく隠れてやっているつもりなんですよ^^;

でも教卓からって、広くすべてが見渡せているんですよね(-_-;)

先生がすごい形相で近付いてきて、私の机の前で静かに立ち止まるんです。

そして言うんですよ(泣)。

「なんで左手使ってんの!右手で持ちなさい!」

私は緊張でカチンコチンに固まったまま、なんとかブルブル震える左手から鉛筆を右手に持ち替えます。

こういう光景を日常的に見ている子供たちって、どうなると思います?

告げ口するようになるんですよ。

「先生~!また○○ちゃんが左手使ってます!」

ってね。

私はそのたんびにビクンッとなって、先生が近付いてくる前にサッと鉛筆を持ち替える…。

しばらく経つと、先生のいないところでも一部の男子が指摘してくるようになりました。

私は辛くてシクシク泣き出すのですが、彼らには私が泣こうがどうしようがそんなことはどうでもいいんです。

だって、彼らがやっていることは正義なんです。

先生が「駄目」と言っていることを懲りずにやり続けている私の方がなのですから、当然、彼らに罪悪感なんてありません。

こんなことが一日に何回もあるんです。

怒られるのが嫌なら先生に言われた通り、使いづらくてもずっと右手使ってれば良いじゃん?て思われるかもしれませんが、これって、右利きの人に左手しか使っちゃ駄目!と言っているのと同じですからね(汗)。

ストレス半端ありませんでした。

しかも私の趣味は絵を描くことなのに、これも右手でやらなくちゃならないんですよ(T_T)

「書きかた」っていう授業があったんですが、これも右手で薄いお手本文字をなぞらなくちゃならないから、ミミズがうごめいているような字しか書けない…。

そして一部の男子がずっと私を監視しているんですよね。

地獄のような世界だと思いませんか?

大好きなお絵描きを奪われ、クラスメートはほとんどが敵。先生に怒られることばかりしている私はいけない子…。

場面緘黙児なので、自分の言いたいことを声に出すことも出来ず、私はどんどん学校での自分の居場所をなくしていきました。

矯正の弊害

けれど、家では今まで通り左手を使っていました。

家族は私の左利きを「駄目」とは考えておらず、むしろ感心していました。

これが家でも抑圧されていたら…と考えると恐ろしくなります。

学校での辛い生活に耐えられたのも、「左利きは駄目」というよく分からない考え方から解放される場所があったからだと思います。

鉛筆に関しては、右利きに矯正するという女性教師のやり方は失敗に終わり、私は今も左手で握っています。

しかし箸は右手を使っています。

途中から右手で持つように矯正されたので、30代になった今でも箸の持ち方は下手くそです。

どうしようもないくらいに下手なので、毎日苦労しています。

子供たちに食べ物を取り分けようとしても、少しも挟めないんですよ(-_-;)

でも、今から左手に持ち直そうと思っても、もう左手では持てないんです。

左手も使えなくなってるやん!!

ってことに気付いたときのショックといったら、もう言葉では表現出来ませんね。

これが私の矯正失敗例です。

無理矢理右利きにしようとすると、こういうことも起こるんですよ~(-_-;)

でも一番の弊害と言ったら、左利きを個性とは認めない担任教師からの執拗な指導によって、自己肯定感が希薄になってしまったことでしょうか。

ずっと自分に自信が持てず、ビクビクしながら生きていたように思います。

進級しても担任は繰り上がりだったので、私は2年間耐えていたということになります。

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左利きでもいいんだよ

3年生になって担任が代わりました。

若い男の先生でした。

私はまだ懲りずに左手で鉛筆を持っていましたが、先生が近付いてくるのに気づいて即座に右に持ち換えました。

そんな様子を見て、先生は深刻な表情を浮かべました。

うわあ~。また怒られる…。

先生の気配に気付かずにいた自分を情けなく感じました。

けれど、私の目線まで膝を曲げた男性教師は、とても優しい口調でこう言ったのです。

「○○ちゃん、左利きなんでしょ?左手使ってもいいんだよ」

え?

って感じでしたが、徐々に私の中に先生の言葉が浸透していきました。

気が付くと、ずっと身体を締め付けていた見えない膜のようなものがなくなっていて、今までにないくらいの解放感に包まれていました。

あの2年間の苦痛はいったいなんだったんだろう…。

って感じですね。

親の苦悩

これは大人になってから聞いた話です。

母親は私の1、2年時の担任教師に、私の左利きのことで説教を受けたことがあるらしいです。

「あの先生、厳しくて嫌だったな~」

としみじみ語っていました。

母親も母親で苦悩していたようですが、担任の指摘を受けて、私の利き手を矯正しようとは思わなかったようなので、そういったやり方には違和感を覚えていたのでしょう。

3年生時の担任教師が深刻な表情で近付いてきたのも、もしかすると私の母親から相談を受けていたからかもしれません。

ともあれ、私はようやく自分を取り戻すことが出来ました。

男性教師の方針が「左利きは左手を使って当然」ということなので、クラスメートたちも二度と私の利き手のことで攻め寄ってくることはありませんでした。

それにしても、自分の価値観を他人に押しつける指導ってどうなんでしょう?

本人も、その家族ですら望んでいないことを、あの女性教師は「良いこと」をしているという認識の下で行っていたのです。

自己形成途上の子供に対して、やっていいことと悪いことってきっとあると思います。

大人になった今、自分の子供たちがこれからどんな先生たちと巡り会ってどんなふうに影響を受けていくのか、そんなことを考えるとちょっと心が重くなります。

幸い小学生の長女は1年、2年と良い先生に恵まれ、よく楽しいエピソードを聞かせてくれます。

これから先も素敵な恩師との出会いが用意されていることを願ってやみません。

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不便でもそれなりにやっていける

子供の利き手のことで悩んでいるママさんから相談を受けたことがありました。

保育園の子育て支援で知り合ったママさんでしたが、挨拶を交わす程度で特に親しくはありませんでした。

その日は親子で祭り用の御輿にくっつける絵を描くということで、私も長女と一緒に参加していました。

おそらく、そのママさんは私が左手でクレヨンを握っているのを見たんですね。

深刻な表情で近付いてきて、

「○○ちゃんママ(私)って、左利きなんですね。実はうちの子も左利きなんだけど…」

周りに右利きに矯正したほうがいいのでは?ということを言われ続け、どうしたらよいのか悩んでいたそうです。

いまだにそんなことを言っている人っているんだな~と思ったら、ちょっと苛立ってしまいました。

「左利きでも特に支障はないですよ。ハサミとかお習字とか、右手でやらないと不都合な場合があるけど、そういうときは右手でも難なく出来るし、逆に両方の手を使えるようになるから、無理矢理直さない方がいいんじゃないですかね」

的なことを返したら、そのママさんはとても安心した様子でした。

子供って、不便だと感じたら自分で模索してやりやすいようにやるし、人間って本来そういう生き物ですよね。

大人が何でも先回りして世話をやくのは、子供にとってはありがた迷惑でしかない場合もあるんです。

自分の子供が毎日笑顔で伸び伸びと生活していることのほうが、私は大切だと思うし、そういう子供の姿を毎日見ていたいな~って願っています。

以上、私の右利きに矯正されかかったときのお話でした。

 

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